OLYMPUS E-1
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特徴
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SLRから撤退していたオリンパスがデジタル専用としてDSLRとして再参入した、第一弾のボディです。 | |
レンズマウント
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レンズマウントはフォーサーズ仕様です。CCDサイズが4/3インチであることからそう呼ばれており、デジタルカメラ用によく考えられたマウントシステムです。 | |
価格
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本体で10〜14万くらいです。 |
詳しい技術的なお話なら、かるばどすほふなんか見なくても、メーカーや詳しいサイトがいくらもありますので、そちらをご覧ください。そうした話題で気に入って買った製品ではないからです。
私は、仕事の関係で、E-1の開発段階に話を聴いたことがありました。デジタル専用レンズの必要性とか、いろいろと伺ったのですが、それでも「一旦撤退して、レンズ群もなくなっていて、再参入しても、ユーザーも選び難いし、困るんじゃないですか」という話をさせてもらったことがあります。それはそれで、外れた話題であると、今でも思っていません。他のメーカーのデジカメ開発をしている友人からも、「OLYMPUSを購入する人というのは、めちゃくちゃ珍しいよ」とからかわれているほどです。
実は、購入するときは、Nikon D70にしようと思っていました。Canonもいいとは思っていましたが、なんとなくNikonレンズの絵の方が好きな気がしていたからです。とはいえ、なんとなく、はまらなかったんです・・・撮影されているいろいろな写真の絵が・・・。
だいたい、カメラのプロの人が撮影している絵は、素直なところ、絵画的過ぎて、ちっともカメラのカラーがわかりませんでした。
何回か、DSLR(つまりデジカメ1眼レフ)を買おうと思い店頭に行ったのですが、毎回買う気になれませんでした。店頭の写真なんかを見て、サンプルなども見て、なんか違うなと思っていたのでした。雑誌もいろいろと買って読んでみましたが、やはり、買う気になれないのでした。心のどこかで、なんか違うよ・・・という気がしていたのです。
■なんか違うと感じていた理由
今考えてみると、CanonやNikonのDSLRが、デジタルカメラとして見たときに、中途半端であったからだと思います。フィルムカメラに似せて作っているデジカメであることが、あからさまでした。実際のところ、開発者達も、デジカメの担当者ではなく、フィルムカメラの担当者であったそうです。ですから、フィルムカメラとデジタルカメラの折衷的な製品になるのは当然でしたし、マーケットの拡大のためには必要なことでした。
結局、KodakとOLYMPUSが、比較的ですが、デジタルカメラらしいデジタルカメラを出していたんですねー・・・今思うと・・・
で、ある日もそうでした。迷ってばかりでも仕方ないから、D70を予約しちゃおうと思いヨドバシカメラに行ったのですが、デモ機を手にとっても、なんか違う気がしました。Canonも価格帯が近い製品は、やはり違う気がしたんです・・・Canonの製品は、手ごろな価格の製品はちょっとちゃちなので、手にとっても所有する喜びを感じる気がしませんでしたし、サンプルの絵が、やはり違う気がしちゃうのでした。そして、またまた諦めて帰ろうかなと思ったときに、柱の下のほうにあったモデルさんの写真が目に留まりました。同じ絵を、ほぼ同じタイミングで撮影して比較用にプリントして並んでいたのですが、その絵だけ違う絵なのでした。そして、その絵は、私が欲しい感じの絵でした。
その機種名を見て、えっと思いました。それが、OLYMPUS E-1だったのです。
で、まじまじと、そのサンプル写真を見て、他の機種の絵と見比べたのですが、やはり違いました。その違いは、私には好ましいものでした。そこで、今まで一度も検討していなかったOLYMPUS E-1を手にとってみました。店頭では、横に置かれ、混んでいるにもかかわらず、大して人も見ていません。自由に見放題/さわり放題でした。全然人気の無い機種だったからです。
その手にした感触に、えっ、と思いました。CanonやNikonの高級機の感覚に近いものでした。ですから、全然違うのでした。オートフォーカスも、なかなか気持ちよい動作でした。
「この機種、違うな・・・」
そして、検討に入り、数日後には購入を決めたのでした。
いくつか、購入の際に考え込んだ話題があります。以下にまとめてみます。
レンズ群が少なく、専用レンズである |
すでにCanonやNikonのレンズ群を持っていれば、新しいレンズ群を必要とするフォーサーズを使用するのに躊躇するのは当然です。でも、私は今までSLRを買ったことがなく、資産としてすでに持っているレンズは、ありませんでした。だから、専用レンズを買うというのは、どのメーカーでも事情は同じでした。 |
手ブレ補正レンズがOLYMPUSにない |
プロであれば笑うような話題ですが、私のようなヘボには手ブレ補正は欲しい物でした。双眼鏡はCanonの手ブレ補正タイプを使用していて、その効果に感心していたからです。ただ、アメリカのサイトを見ていて、手ブレ補正はカメラを固定しているときにしか使用できないとか(つまり流し撮りは出来ない)、考えてみれば当たり前の話題を見ているうちに考えが変わりました。「結局、腕を磨けばいいんだ・・・」と思ったのでした。 |
画素数が少なめ |
と言いながら、510万画素あれば十分と思いました。私は、A3ノビに拡大してプリントする気はありませんので・・・。 |
価格が高め |
と思ったのですが、防滴防塵仕様で高精度なら、逆に安いんですよねー・・・他のメーカーと比較しても・・・本体も、レンズも・・・ |
さらに、いろいろと考えて、気付いたことがあります。
それは、DSLRというものは、フィルム・カメラとも、コンパクトデジカメとも、本質的に違う製品でないといけないということです。
フィルム・カメラ用レンズではデジタルで性能は発揮できない |
OLYMPUSのホームページでは、デジタルカメラ用レンズの必要性について、CCDに対する光の入射角度として説明しています。これはもちろんいえるでしょうか、それ以外に理由があります。それは、フィルムカメラのレンズが、フィルムの感光層の厚さを前提に作られていることです。フィルムの感光層は、3原色に対応して作られており、それに対応して光の波長別に焦点距離が微妙に調整されています。これは、フィルムの厚さ前提としているときに最適なのですが、デジタルカメラのCCDは平面に展開されているため、この調整が仇になってしまいます。つまり、波長別に焦点がずれてしまい、色が違ってしまうわけです。当然、デジタルカメラの内部で補正はされているはずですが、原理的に、補正しきれるものでもありません。私が写真を見ていてピンとこない理由は、どうも、この辺にあったようです。デジタルカメラの絵に見慣れていたため、初めから気になってしまったのでしょう。このことを簡単に言うと、フィルムカメラ用レンズは、デジタルカメラでは性能を発揮できないのです。 |
DSLR内の映像エンジンのほとんどは不用なものである |
私が検討していたNikon D70は、Jpegで撮影すると、媒体が一杯になるまで連続撮影できます。別に、それほど感心すべき技術でもないのですが、カメラ雑誌は誉めそやしていました。でも、ちょっと考えてみたのです。 海外のプロ用ハイエンドカメラはそうした製品が多いみたいですね
OLYMPUS E-1は、デジタルカメラで処理できるすべての処理をPC上でも出来るOLYMPUS STUDIOが用意されており、CanonやNikonよりも総合的なワークフローとして、進歩していました。本体も、rawデータでの撮影であっても12枚分のバッファを内蔵しており、そうした本格的なデジタルカメラとしての性格を持っていました。 この辺りが背景であったために、OLYMPUS STUDIOのrawデータ現像の問題点に気付いたり、OLYMPUS STUDIOの動作に問題があったときに、極めて厳しい態度に出た理由があります。 |
もうひとつ書きたいことがあります。それは、カメラ雑誌の記事の多くに困ったということです。
記事を書いている人たちで、デジタルカメラとフィルムカメラの違いを理解している人が、少なすぎます。もっと簡単に述べると、記事のほとんどは、フィルムカメラの常識で書いているため、めちゃくちゃなのです。
笑ってしまったのは、デジタルカメラのホワイバランスの取り方の違いを延々と述べている話題とかです。で、もっと酷いのは、撮影はJpegでいいと言い切っている話題です。より正しく理解した上でそうした話題が出ているのではないようです。見ているとそうした話題をしている内容の延長で、Adobe Photoshopなどによるポスト処理を高く評価していたりする話題まで出ています。ここまで来ると呆れてしまうばかりですが、ここではなぜ笑ってしまったのかをちょっとご説明します。
こんな経緯もあり、雑誌記事を見て、その情報には、ほとんど意味がないなーと読み捨てたのでした。
ホワイトバランスなんてDSLRで議論するなよ |
ホワイトバランスが必要な理由は、人間の視覚が脳に補償されているために光の色の分布に対して独特な反応を示すため、そのまま映像を記録したりすると、後に、その絵が赤く見えたり、青く見えたりすることにあります。この補償は、DSLRの機能では、本質的には、不可能です。なぜならば、人が見ている色の傾向は主観的なものであり、客観的なものではないからです。 |
Jpegで撮影したいなら勝手にどうぞ・・・でも、それではDSLRは使いこなせない |
日本のカメラマンの人の多くは、DSLRでの撮影はJpegで十分であると仰っているそうです。 |
Photoshopは、お絵かきツールなんですけど・・・ |
Photoshopは便利ですから、私も7〜8年ほど使用していますが、カメラ関係の雑誌でのPhotoshopの説明には、もう、呆れてしまいます。Photoshopの処理は、本質的に不可逆な映像データの変更であり、元データを変更することなのですが、なんか、撮影時の工夫の代行とか、補正処理と同じようなものという感じに、混同しているみたいです。 別に、お絵かきが悪いわけではありませんが、写真撮影と加工には、本質的な違いがあるはずです。フィルムカメラの時代は、加工があとからは大変なので、撮影時に加工も一緒にしていたのですが、DSLRは、すべてを分離した工程で正しく処理できます。 |
私はDSLRは、OLYMPUS E-1が初めてですので、どの製品と比較してこう・・・という話題はありません。E-1は、他社とかなり使い方の思想が違う点があり、各機能に直接アクセスするボタンが用意されています。所詮は機械の操作ですので、慣れればOKで、私は慣れてしまいました。
E-1ですが、CCDのS/Nの関係で、ISO800までは、そのまま使用していても、あまりノイズは気になりません。それ以上の場合は、ノイズリダクションを使用したほうがいいでしょう。ノイズリダクションは、raw現像時でも処理できますので、撮影時にはそのまま撮るのが標準です。ただ、基本的に暗い場所にとても強く、ほとんどの場合でフラッシュなしで撮影できます。
以下のサンプルで、一番上だけフラッシュ撮影です…私も、こうした写真を撮ったことがあるんですねー…自分で感心しました。
暗い店内でそのままなにげなしに撮影しましたけど、こんなふうに撮れました
2005/09/09 OLYMPUS E-1 + Carl Zeiss Distagon 35mm F1,4 T* rawデータ撮影後ホワイトバランス適時選択して現像 |
シャッター時間は、20秒など長めにすると、暗いところにノイズが立ちやすくなります。このようなノイズは、CCDの原理上避けがたい点があります。このノイズも、ノイズリダクションでかなり除去ができます。
オートフォーカスは、赤色に対して実行しているようです。ですから、有効にオートフォーカスを機能させるためには、被写体の色身について注意したほうがいいようです。オートフォーカスの精度は、-20evに近づくと、かなり低下します。レンズも赤に色が転びやすくなるのにあわせて、フォーカスが甘めになりますので、注意が必要です。
OLYMPUS Digital ZUIKOレンズ群に対しては、安定した相性をもっています。ただ、光量が少ない場合は、レンズにより色が赤に転びやすくなるようです。この話題については、レンズごとに説明を入れています。
ホワイトバランスは、本体の計測窓と、CCDの情報からの混合分析で、比較的高精度です。ただし、室内などで、色温度の異なる光源が混在していると、かなり混乱します。計測は、基本には、本体の計測窓のほうが優先的に処理されているようです。すでに説明したように、ホワイトバランスはカメラ本体による分析には無理な点があるので、raw撮影して、後日にPC上で判断しながら決めるのがコツです。
ファインダーは、100%の視野ですのでその点は問題ありませんが、マニュアルフォーカスによるピント合わせはしやすいとはいえない点があります。また、ファインダーを交換することができるので、その点は便利です。
バッテリーの持ちは、かなりあります。標準バッテリーで約400枚、大型バッテリーで1000枚の撮影が可能です。バッテリーの寿命は充電回数と関係しますので、大型バッテリーで時々充電するという形態ですと、かなりつかえると思います。私の場合は、大型バッテリーを使用しており、週に400〜500枚撮影ですので、月に2回くらいしか充電していません。
ホールディング感には、なかなか良いという定評がありますし、私もそう思います。
記憶デバイスには、CF(コンパクトフラッシュ)を使用します。Micro Driveもサポートしています。私は4GbyteのMicro Driveを使用しています。raw撮影で1枚当たり10Mbyteのサイズになるので、400枚弱の撮影が可能です。
raw撮影していても、OLYMPUS STUDIOや付属のOLYMPUS viewrではサムネイルが表示されますので、支障ありません。ですから、撮影時にraw + Jpegで記録するメリットはあまりありません。記録時間がかかりすぎるので、意味のない方法です。CanonやNikonのようにrawの取り扱いが付け足しのシステムでしか意味はありません。
外部接続には、USB2.0と、IEEE1394が用意されています。
データ転送速度は十分に取れているようですが、200〜300枚の写真を撮影していると、データ転送にはそれなりな時間が必要です。
OLYMPUS E-1はフルフレーム型CCDなのでダイナミックレンジが広いため、
逆光でこうした写真を撮ってもそれなりに撮影してしまいます 撮影 2005/01/02 皇居にて撮影データ OLYMPUS E-1 + ZUIKO Digital ED 50-200mm F2.8-3.5 rawデータ撮影後OLYMPUS STUDIOでカメラの測定したホワイトバランスにて現像 |
撮影データ OLYMPUS E-1 + ZUIKO Digital ED 35-100mm F2.0
rawデータ撮影後OLYMPUS STUDIOでホワイトバランス適時選択して現像 2006/01/08 |
使用していて、以下のような機能がなかったり弱かったりして困ったりしました。
デジタル専用なんだから・・・という気持ちが私に強いからでしょうねー。
デジタルカメラの光を信号に変換するデバイスであるCCDは、フィルムよりも飽和しやすい点があります。E-1に使用しているCCDは、フルフレーム型であるため同じサイズの通常のCCDとくらべると飽和点が高くなっていますが、やはり注意が必要です。
このような時に、技術屋であれば初めに思いつくのが、CCDの性能を最大にするように撮影するモードを作り、絞りとシャッター速度を制御する方法です。しかし、デジタルカメラでそうした制御ができるものは、私の知る限り無いようです。これは、デジタルカメラとして徹底して考えているのであれば、装備していて当然と思うもので、なぜないのか私には理解できませんでした。
もっとも、こうした方法で撮影すると、どのような写真が取れているかはその場での確認は困難なときがあります。ですから、現場で一瞬を大切にするカメラマンにとっては、興味の無い機能かもしれませんね。
被写体の色や明るさの関係で、マニュアルフォーカスをしているときに、フォーカスのあっている状況を確認する手段が、通常のファインダーしかありません。液晶モニターは4倍の解像度なので、かなりフォーカスがずれた状況でないと確認できないですし、ファインダーも確認しやすいタイプではありません。
この辺りは、慣れも必要ですが、機能として強化されてもいいと思います・・・E-300では、液晶モニターが10倍まで拡大できるので、確認は容易となっています。
2006/07/19
OLYMPUSの宣伝で誤解されているのが、ダストリダクションシステムです。OLYMPUS以外に、Panasonicにも技術供与され製品に組み込まれています。
カメラマンの人なんかは、この機能があるからゴミが写ることはない…というか、ゴミの心配はない…メンテナンスフリーみたいに感じられる説明を聞いてしまいます。
でも、これって、違うんです。
ダストリダクションシステムがあるのは、映像素子だけです…DSLRには、CCDが他にもあります。
ひとつは、オートフォーカス用CCD、もうひとつは、AE用CCDです。
この二つのCCDには、ダストリダクションシステムが用意されていません。
ですから、これらのCCDのゴミ掃除が必要です。
幸いにして、これらのCCDは外から掃除し易いので、ブロアでゴミを吹き飛ばすとかしていればいいので、手入れは簡単です。映像素子のダストリダクションがない機種の場合は、掃除が難しいため、手入れの簡単さの違いは、明らかです。ダストリダクションは、手入れの簡単さの違いに意味があるのでした。
もしも、オートフォーカス用CCDやAE用CCDにゴミが付くと、動作が怪しくなります。
特に、オートフォーカス用CCDのゴミは、オートフォーカスのミスとか、動作しないという、致命的なトラブルになります。
Eシリーズであっても、カメラ本体のゴミ掃除が大切なこと、忘れないでくださいませ。
デジカメ日記に、以下の関連コンテンツがあります。
●自分でも予想しなかった結論に至りました、OLYMPUS E-1の選択
●本体/レンズ/マイクロドライブ購入編
●メーカーの思い入れが強い製品
●OLYMPUS STUDIO未だ動作せず・・・は過去となりました
●OLYMPUS E-1オーナーラウンジにて
●raw現像の品質・・・(^^;
以下は、E-1を使用した撮影写真が収録されているページへのリンクです。
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