Laser Distance Meter登場
概要
暗いところでオートフォーカスが機能できないという問題を解決するために、マニュアル撮影をするようになりました。
はじめは、OLYMPUS E-SYSTEMで、その後、よりファインダーが大きく操作しやすい、LEICA R-SYSTEMも使うようになりました。
だいぶ撮影はうまく行くようになったのですが、それでも問題がありました。なぜならば、人の眼も、暗い場所でフォーカスが合わなくなるので、ファインダーを使用したフォーカスは、やはり難しいのでした…(^^;
で、考えました。
より正確にフォーカスするには…その答えは、Laser Distance Meterを使用するというアイデアであったのでした…。
本邦初公開…Laser Distance Meterを使用した、マニュアルフォーカスカメラでの撮影のお話です…(^^)

2006/04/17

デジタルカメラらしい撮り方をしていたら、違う世界にいました
CONTAX T2
私が人生で初めて購入したカメラ
FUJIFILM DS-7
私が人生で初めて購入したデジカメ
Nikon COOLPIX900
初めて、実用になるかもと思ったデジカメ
Nikon COOLPIX900の作例 東大東島にて 1999年10月25日撮影
当時としては、綺麗な方かも…

私は、カメラと写真に対して、認識が世の中一般…(^^?…というか、主流の考え方と、根本的に異なっているようです。

主流の考え方は、フィルムカメラで実現された写真技術をデジタルカメラで実現すること…と、一言で説明できます。

私の考え方は、フィルムカメラで開発された撮影手法は尊重しますが、デジタルカメラの能力を発揮させることに主眼をおいています。

その違いは、撮影時のスタイルにそのまま出てきます…私は、いくら暗くても、フラッシュを使用しないのです…もちろん、持っていますが、撮影時にもっていることは、ほとんどありません…水中撮影は別ですけど…。

そうなったのは、こんな経緯です。

私は、カメラを使い始めたのは比較的最近で、デジタルカメラの時代になってからです。
実は、その昔、カメラを買ったことがあります。
CONTAX T2というコンパクトカメラです。

1990年に購入しました。

でも、フィルムで5本ほど撮影してから、ほとんど使用しませんでした。当時の私は、日中はプログラムを作りっぱなしで、たまに時間が取れると深夜…で、夜の光景を高感度フィルムで撮影してみたのですが、想像以上にちゃんと撮影できないことに加えて、フィルムや現像という運営コストに耐えられなかったのでした。

で、長い間カメラは使わず、もっぱら8mmビデオカメラを使用していました。

時間が経ち、1996年…デジタルカメラが各社から発売され、30万画素機である富士写真フィルムds-7を買ってみることにしました。

この機種、当時評判が良かったのですが、使ってみたらびっくり…その画質たるや惨憺たるもので、お話になりませんでした。今でしたら、携帯電話の一番簡単なカメラ程度の能力です。

で、またまたカメラは止めました。

そして、1999年、Nikon COOLPIX900を購入しました。遂に登場した100万画素機(130万画素)、実は、かるばどすほふに写真を入れたくて、購入したものです。

このカメラ、画質はなるほどと思われるものがありましたが、ともかく、酷い製品でした。バグだらけですし、稼働時間はカタログどうりじゃないし…

しかし、使っているうちに、バグのパターンがわかってきて、それを避けるように使えるようになりました。

今の水準からすると、悲しいほどの絵なのですが、当時としては画期的でした。また、デジタルカメラの良さである「ランコスト」の安さに感心しました。

当時の私ですが、フラッシュの使用に、躊躇がありました。撮れる絵が、目で見ているものと違うことに、強い抵抗感があるったからです。

それは、はじめて買ったカメラであるCONTAX T2の時代から言えることで、常にフラッシュを使用したくないのでした。

こうした感覚の由来は、オーディオの趣味に端を発しているのかも知れません。見たときの感動や感覚をそのまま伝えるために写真を撮りたいだけで、絵作りをしたい感覚を持っていないのでした。

私は、ビデオカメラをよく使用していました。ビデオカメラはろうそくの明るさで撮影できるので、その感覚に慣れていました。おなじような技術を使用しているデジタルカメラが、全然違う、不便な製品であり続けている理由が、当時、いまいち、わかりませんでした。

実は、技術的には私の感覚は正当でした。
デジタルカメラの取り扱える光は、暗いところからちょっと明るいところまで…という範囲であり、暗いところは、本来的には問題が無いものでした。

しかし、フィルムカメラの伝統からすると、私は異端です。
フィルムの感度は、CCDの1/3〜1/10程度しかなく、暗い場合は明るくして撮影するのが、本来であるからです。

そして、デジタルカメラは、フィルムカメラの常識で設計されており、本来の能力と、ちょっとかけ離れた、フィルムカメラの運用にあわせてあるのでした。

そして、私は、それに初め気付かず…はまってしまったのです、その狭間に…(^^;

つまり、暗いところをフラッシュ無しで撮ることに、集中していのでした。

そうした撮影方法は、カメラの世界ではあまり行われないことでした。
で、問題に直面したのでした…ちっともフォーカスが合わないのです。

暗いとフォーカスは難しい

暗いともっとも問題な点…それは、フォーカスが難しいということです。

オートフォーカスの原理は、映像の位相差を利用する方法で動作します。
通常のデジカメは、この検出の為に、撮影用のCCDを使用し、DSLRには、オートフォーカス専用のラインセンサCCDが用意されています。

この際に、暗い場合は、AF補助光を発光して、フォーカスを行うことが一般的です。そして、OLYMPUS Eシリーズはそのように設計されています。

でも、明るいところですらオートフォーカスというのは思うところに合いません。
実際には、位相差が得易いコントラストが強い場所に、フォーカスが合ってしまうからです。フォーカス点としてどこで測定するか決まっているのですが、それほど正確に特定の場所でフォーカスが合うものではなく、一定の範囲にフォーカスが定まる場所は、広がりがあります。

人の顔なんかは、実は撮影がオートフォーカスで大変なもののひとつで、モデルさんみたいに強い化粧をしている、メリハリのある顔だと撮影し易いですけど、普通にお化粧しているくらいですと、フォーカスが外れやすいです。

そうしたオートフォーカスは、暗い場所では、人を撮影しようとすると、レンズはほぼ開放…被写界深度(ピントが合って見える範囲のこと)はとても浅く、適当なところにピントが合い易いオートフォーカスでは、きれいさっぱりとピントは外れてしまいます。

では、マニュアルフォーカス…と思い、暗い場所ではLEICAを使うようになりました。それでも、やっぱり合いませんでした。

ファインダーを使用して、目で見ていて、ばっちり合ったぜ…と思っても、フォーカスが合っていないのです。

私は、めがねをいつも使用しています…もともと視力は良くないので、それが原因かと思いました…でも、明るい場所であれば、綺麗にフォーカスは合っていました。視力の問題であれば、そんなはずはありません。

で、いろいろと考えてみたら…原因がわかりました。

キーワードは、人間の目の構造そのものにありました。

人間の目には、レンズに相当するレンズ体と、絞りに相当する虹彩があります。

暗い場所では、虹彩はいっぱいに開きます。そうした状態では、構造的に、目そのもののフォーカスは、甘くなります。これは、物理的に避けられない問題です。

余談ですが、人の目のレンズ体というのは、人が作るレンズで言うと、異常分散レンズが非球面で作られているものであると言えます…すごいですねー…今の人類の技術では、まだ作れないかも…

人の目では、そうした状態でも、綺麗に見えている…気になっていますが、それは脳の働きでそう感じているだけで、実際に目に映っている映像は、かなりピンボケとなります。その証拠として、暗い場所で字を読んで見ると、そんなにはっきり見えていないことに気付きます。

結局、暗い場所では、人の目ですらフォーカスをしっかりと合わす事は出来ないのでした。

私のように、暗いところで撮影するのを好むというのは、フィルムカメラではありえなかったですし、デジタル愛好家でも珍しいみたいですね…(^^;

私は、今のカメラそのものの原理の限界に直面してしまったのでした。

計器撮影…

いろいろと撮影していて気付いたことがあります。
目で見ていてフォーカスが合った…と暗いところで感じる範囲は、意外と広く、LEICA SUMMILUX-R50mm F1.4 Ver.4のように近距離である時に、レンズの鏡胴を2/3も回すタイプのレンズでは、暗い場所のピントがとても合わせられませんでした。

しかし、距離を測って撮影すると、しっかりと撮れているのでした。

カメラの映像は、絞りが開放であっても、結構綺麗に結像していました。
明るいレンズは、被写界深度が浅いですし、ボケそのものもありますけど、実は、結構綺麗に取れているのでした。

被写界深度ですが、説明用に次の写真をご覧ください。

この写真は、LEICA SUMMILUX-R 50mm F1.4 Ver.4を絞り開放で撮影したものです。
ピントは、キューティーハニーの左目にあわせてあります。
撮影距離は53cm、この状態ですと、理論的な被写界深度は7-9mmくらいしかありません。左目をその中心くらいに合わせて前後4-4.5mmくらい外れると、もう映像がボケはじめます。ですから、全体的にはボケて見えますが、これは正確にピントを合わせています。

理論的な被写界深度とは、レンズの有効な口径、被写体との距離、レンズの焦点距離から決まるものです。ボケの許容量を決めて計算します。

撮影データ LEICA Digital-Module-R + LEICA R9 + LEICA SUMMILUX-R 50mm F1.4 Ver.4
rawデータ撮影後RawShooter1.02 でホワイトバランスを適時選択して現像
Jpegであるため、カーテンに階調ノイズが出ています…
これはjpegの原理的なもので、撮影したデータにはこの問題はありません

余談ですけど、この写真はお気軽にサンプル用として、室内で照明無しに、外光だけで撮影しています。背景の黄色は、カーテンです。
被写界深度は、このように、明るいレンズ(F値が小さいレンズ)
では、とても狭くなります。

私は、暗い場所で、近接して撮影することが多いので、この被写界深度の浅さの為に、ピントがとても重要になります。

理論的な被写界深度は、レンズが暗く(F値が大きく)なれば、被写体との距離が遠くなれば、焦点距離が短くなれば、深くなります。ですから、安直な解決策は、そうしたレンズの選択です。

でも、そんなことをいつもしていたら、レンズがたくさんないと撮影できませんし、そんなに具合良く、レンズの状態に合わせて撮影できるものでもありません。

で、今のレンズで頑張ってみようとトライして、いろいろと失敗していて、気付いたのでした…
目やオートでフォーカスが合わせられなくても、合えば、結構綺麗に撮れていました

結局、フォーカスがどれだけ正確なのかとうことは、同じでした。

目でフォーカスをあわすためのフォーカシングスクリーンや、オートフォーカス用のラインcCDではない方法でピントを合わす方法…それは、初期のカメラで採用されていた、距離を正しく設定するという方法です。そして、歴史的経緯から、それが可能なのでした。

LEICA M3
Mシリーズのレンジファインダーカメラは、今も一部ユーザーから強く支持されています。

初期のカメラは、光学的距離計を今式のファインダーの代わりに使用していました…レンジファインダーといいます。

レンジファインダーの原理は、デジタルカメラのオートフォーカスで画像の位相差を利用するのとほぼ同じで、レンズからの映像を2つの位置で合わせてみて、二重にずれている映像を重ねあわす二重像合致方式…今式に言うと、位相差を利用することです。

レンジファインダーと連動してカメラのレンズが廻っていきます。

レンジファインダーを使用したカメラは、一眼式ファインダーを初めて搭載した、1954年に発売されたドイツLEICA M3が最高だと、今も言われています。

日本のカメラメーカーを、このカメラの完成度をモデルとしてカメラを開発…しかし、とてもその域に到達できず、新しい原理である、一眼レフカメラを開発…今日に至ったのでした。

余談ですが、レンジファインダーには、原理的に、近い距離や望遠で使用する際に、様々なレンズへの対応に難しいものがあります。そうした事に対して、一眼レフの方が、幅広い対応が可能でした。

こうした歴史的経緯があり、マニュアルフォーカスが出来るレンズには、フォーカスが合う距離について、詳しいゲージが用意されています。

ゲージの例として、
LEICA SUMMILUX-R 50mm F1.4 Ver.4 です
上側の数字が、フォーカスの合う距離です。オレンジの数字はフィート、白い数字はメートルで記載されています

このゲージを合わせてあげると、綺麗に撮れるのでした…(^^)

この場合のキーワードは距離です。距離が正確にわかればよいわけです。

つまり、ファインダーも、オートフォーカスもダメならば、正確に距離を測定して、カメラを調整すれば良いのでした。

このような場合の道具があります。
Laser Distance Meter/レーザー距離計です。

そうした計器を使用して、撮影すれば…つまり、計器撮影すればいいのです。

でも、悩んでしまいました…だって、そんな撮影方法、聴いたことなかったのでした…
普通は、撮り易いレンズを買うものです…

Laser Distance Meter登場

結局、何ヶ月も悩んでしまいました。
なぜなら、LEICA 35mm F2.0を使用すれば、それほどうるさい問題にならないので、ある程度映像のピントが合えば綺麗に撮れそうだったからです。

この悩みに答えを出したのは、leicaのレンズの高額さでした。LEICA 35mm F2.0は、中古でも10万円、新品であれば、安いお店でも16-17万円くらいです。

Laser Distance Meterは、5万弱…で、決断しました…計器撮影がダメなら、レンズを買おう…(^^)

LEICA DISTO A3 Laser Distance Meter

購入したのは、LEICA Disto a3という、小型のLaser Distance Meterです。

測定可能距離は100m、精度は±3mmです。写真撮影に使うには、充分すぎる性能です。
クラス2レーザーを使用してますので、1mWの出力で、裸眼に照っても、目の嫌悪反応により危険性を避けられます。

とは言え、私は人の顔には使用しないことにしています。

アメリカ空軍が採用している、
Saber 203 Laser Illuminator

使ってみて、初めに驚いたのは、実は動作そのものでした・・・頭ではわかっていたのですが、測定の為にレーザー光が照射されると、どこを狙いたいのか、明確にわかります。

映画で、ライフルで相手を狙った時に、相手にレーザー光をあてている場合がありますよね…あの感覚なのです。

ライフルに使用されているレーザーを照射するものは、Laser illuminatorといいます。

考えてみれば、カメラのレンジファインダーも軍用の測距儀から発達したものです…英語でfinderとは、カメラだけではなく、ライフルのライフルスコープも意味しています。

技術的には、同類なんですねー…(^^)

使い方は簡単…(人の顔を外して)相手に向けて、onボタンを押します…するとレーザーが照射され、もう一度onボタンを押すと測定します…

それから、カメラのレンズに距離を設定して、ファインダーで構図を決めて、(もしも可能なら、目でフォーカスを微調整して)撮影…(^^)

これが計器撮影です。

ところで、英語で、飛行機の計器飛行のことを、blind flight/めくら飛行、といいます。
てことは、計器撮影は、blind photography/めくら撮影、って訳すんですかねー…この単語はよく目にするんですけど、私の英英辞典にも載っていません…これの意味は、言葉通りみたいですね…(^^;

こんな写真が撮れます

こんな写真が撮れます。

撮影データ OLYMPUS E-1 + ZUIKO Digital ED 150mm F2.0
rawデータ撮影後RawShooter1.02 でホワイトバランスを適時選択して現像 2007/03/03撮影
Laser Distance Meterのおかげで、こうした撮影もらくらくできます
なんて便利な道具なんだろう…(^^)
撮影データ LEICA Digital-Module-R + LEICA R9 + LEICA SUMMILUX-R 50mm F1.4 Ver.4
rawデータ撮影後RawShooter1.02 でホワイトバランスを適時選択して現像 2006/04/12撮影
撮影データ LEICA Digital-Module-R + LEICA R9 + LEICA SUMMILUX-R 50mm F1.4 Ver.4
rawデータ撮影後RawShooter1.03ホワイトバランスを適時選択して現像
撮影日 2006/08/30

関係したページ

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2007
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