報道の自由と個人情報売買

2002/08/01,2003/2/9,6/4

報道機関が最大の個人情報売買組織

個人情報保護法がいろいろと叫ばれています。報道機関は挙って反対です。
その主張は、まったくごもっとも・・・私も報道機関が反対する理由には、もっともなことを感じます。
でも、そうした報道機関は、さまざまな形で個人情報売買を行っており、組織の規模から考えると、明らかに日本最大の個人情報売買組織でもあることは、あまり知られていません。報道機関がそうした組織を確立している話題は、「情報源の保護」という大義名分により秘密にされてますので、折角だから、ばらしちゃおうと思います。
具体的な説明がいいと思いますので、個人情報売買が一番目立つ芸能関係を例にしますが、政治関係にしても、個人であっても、同様な方法は使用していると思います。もちろん、すべてがこうした異様な方法ではなく、まともな取材もありますけど・・・。

皆さんが毎日見ている芸能ニュースって、どうやって情報を仕入れているのか

私たちは、毎日に新聞とかニュースを見ています。
最近は、そうした時間の多くは芸能関係の話題が多いですよね。
ああした話題では、○○が△△とデート、とか、××がホステスといちゃいちゃ、とかがほとんどです。そうした情報は、報道記者の必死の張り込みで見つけられているのではありません。それをするには、記者の数が少ないんですね。お金もかかるでしょうし・・・。
だいたいは、お店の人たち、たとえばクラブの黒服さんとかホステスさんたちに、情報を売ってくれたら御礼をします・・・というネットワークを各報道機関が作ってるんです。そうした事に応じるお店のレベルは、概して高くありません。当然ですね、お客さんを売り渡すわけですから、ろくな連中ではありません。ですから、報道機関は、引き受けてくれたホステスさんの友達の伝を辿って、高級クラブのホステスさんに頼み込んだり、ずいぶんと苦労しています。
こうしたネットワークには、街でよく遊んでいる人たちも加わっています。
情報の提供料は、芸能人の有名度に応じて違い、数万〜数十万です。だいたいは、20〜30万くらい、情報提供後、確認されると、数日で新聞社や出版社なんかから代金が振り込まれます。
情報の提供者は、電話とかemailで知らせます。
そうすると、現地に記者・・・(^^?・・・が飛んでくるわけです。

関連した話題が、徒然酒 2003/06/04に掲載されています

現地では、お店はお客様である芸能人を守ろうとしますが、守りきれない場合もあります。たとえば、浜崎あゆみと長瀬智也がデートしていたときの写真は、お店自体の構造から、一般客を隔離しきれないところがあり、撮影されたものです。お店としては、かなり努力したとは思うのですが・・・。

もっとも、この場合の情報リソースがどうなっていたかは、私も確認していません。
でも、張り込みとか偶然ではないでしょうね。情報の売買により知ったと思います。

もちろん張り込みとか、追っかけての取材とかかしている場合もあります。テレビや雑誌では、そうした側面はちゃんと説明していますね。カッコつけて・・・(^^;・・・現実はかなりみっともないものみたいですけど・・・。
私が知っている(ちょっとカッコ悪い)そうした例をご紹介します。
六本木の(超)高級クラブは、芸能人とか企業のお偉いさんがよく使うお店です。
で、ある芸能人を追って、飛び込みのお客がひとりで入りました。お店には、ちょっと単価の高い部屋と、一般の部屋があるのですが(といっても高いんですけどね)その人は芸能人を追って単価の高い場所の芸能人に近くの席を要求しました。だいたい、そうした高級クラブにはじめてでふらりとひとりでくるお客は、かなりお金持ちなので(なにしろ、入り口を見たら普通の人は引いてしまいます・・・)、場所を指定するなんてセコイことはしない、「良きにはからえ」という人たちがほとんどです。ですから、お店からは「あ、芸能人を追っている人だ(記者かレポーターなんでしょうかね)」とわかります。で、付くホステスさんが変わるごとに「あの人はよく来るの?」と聞いていました。どんなお店でも、客の状況は常にホステスさんから報告されていますし、チェックもされています。ですからそうしたうさん臭い客であれば、当然、だれも教えてくれません。お店から注意の指示がホステスさんや黒服さんに出ます。写真を撮らさせることもありません。記者さんもそうしたことは知ってると思いますので、ひょっとすると、取材にかこつけて自分自身がお店に入りたかっただけかもしれませんが・・・(^^;

本当に守りたいのは、芸能ニュースなのかもね・・・

こんな風に情報収集とか取材の話題をご紹介すると、面白いのですが、ちょっと変に思いませんか・・・?
情報提供料は、20〜30万くらい、この金額はちょっと前に各報道機関から叩かれていた某テレビ局が、盗みに入る情報を提供してくれた人に渡した額と同じですよね・・・そうした人の避難費用とのことでしたが、何のことはない、相場なんです・・・情報提供についての・・・。

以下の内容はSponichiAnnexで2002/8/9に報道されたテレビ東京の窃盗団報道問題についての顛末を述べている記事の転載です。


テレビ東京 金銭の支払いは一切しない  テレビ東京の記者が窃盗グループの関係者から情報提供を受け、犯行現場を撮影し現金を渡した問題で、同局は8日、取材した記者、デスクの降格、菅谷定彦社長が俸給25%を2カ月間自主返納するなどの処分を明らかにした。
 社内の検証委員会がまとめた検証結果で、情報提供者に渡された金額は、飲食代、手土産代などを含め計39万1000円相当にのぼることが判明。提供者と接触する間に撮影した窃盗団メンバー3人の顔写真を警察に提出していたことも新たに分かった。菅谷社長は「報道倫理を逸脱した取材方法であり、メディア規制の口実を与えかねない。深く反省している」とあらためて陳謝。自身の俸給25%返納については「非常に重い処分と認識している。安易にトップが辞任すれば良いという問題ではない」と話した。
 同局では報道倫理ガイドラインを改訂。今後、一般からの情報、映像提供などの際も、金銭の支払いは一切しない方針。チェックも複合的に行い、再発防止に努めるという。検証結果については、31日午前の生番組「生かします視聴者の声」(前6・20〜6・45)で視聴者に説明する。


テレビ東京は要領が悪かった・・・ということでしょうか・・・もともとスクープをする局ではないので、こうした決定をしても失うものは少なくおおきなインパクトはないでしょうね。たいした情報売買ネットワークは確立していないでしょうから・・・(^^;・・・なんか、業界を守るために、のスケープゴート(生贄の羊)になつたという感じがしてしまいます。

2002/8/9


テレビ東京の正式なステートメントでは「報道倫理ガイドラインの見直しを行い、特に、取材と金銭、犯罪者並びに反社会的集団に対する項目を検討、追加しました。」ていうことでした。これって、sponichiAnnexが報道している「今後、一般からの情報、映像提供などの際も、金銭の支払いは一切しない方針。」とは意味合いが違うみたいな気がするんですけど・・・(^^;・・・うっかり、記者が説明を深く書きすぎたのでしょうか・・・それとも、会見の席では口頭でそう説明したのでしょうか?。新聞て、複数のものを比較すると、ぜんぜん違うことかいてたりします。ですから、こういう食い違いは毎度のことです。人がやることだから仕方ないけど、あまり文字通り受け止めないほうがいいってことですね。
報道機関の情報売買システムに対抗して、広島県警も情報提供に対して10万円くらいの謝礼を用意したみたいだし・・・密告情報買い上げ時代ですね。社会正義を金で買える時代なら、報道の自由はもう不要かもしれないですね。金で買った情報の公開の義務を課すだけでいいや・・・。
しかし、テレビ東京の言う「報道倫理ガイドライン」て、どんな内容なんですかね・・・。報道機関ほど、そうした内容を公表していない。どの新聞社やテレビ局も自社のホームページでそうした大切な情報を公開していないし・・・電話したら送ってくれるんでしょうか?。企業の根幹にかかわる話題でしょ。一般企業は、そうした倫理的な話題は、たいていは公開しているけど・・・。情報公開とかえらそうなことを言う前に、自分がちゃんとやりなさいと思うんですが・・・。誰も知らない倫理規定なんか、どうやって信頼するのか?・・・なにを考えているのでしょうか?
また、正式なステートメントの検証委員会の考え方を読んでいたら「冷静な取材姿勢を鈍らせ、「取材に金銭を介在させた問題」を生じさせるなどの結果からすれば、報道に携わる者としては、こうしたことに慎重であるべき上司のデスクの判断とともに問題がありました。」ての読みながら、ウソだろ、いつも売買しているからうっかりやっただけジャンと思いました。報道機関ボケしてんじゃないのかな・・・。第三者から見たら、そうした感覚の日常が変なんだぜ・・・。報道倫理という自画自賛の尊大な言葉を信じる人は、そんなに多くないでしょ。
所詮、規制逃れのおためごかしと思ってしまいました。食い扶持を守るために必死なんですね。
今度は、制作費節約のために料理番組が増えたこと、書いちゃおうかな・・・報道機関とか、放送関係の偽善者的な側面が、また説明しやすいし・・・。

2002/8/10

報道機関は情報の提供経路を、報道の自由を守るためと称して、明らかにしませんが、だいたい、ここでご紹介したようなシステムです。単なる個人情報売買ですが、言い換えると密告システムです。かつては権力により実現したシステムですが、資本主義の今、お金でこのシステムを運用しているわけです。
恐らく、事前登録方式を取ってることを逆手にして、出来高制の社員みたいな立場として説明したり、芸能人は公人だとかいって、正当性を主張するのだと思うのですが・・・詭弁ですね。厳密に検討すると、個人の権利を侵害しており、グレー過ぎます。
私たちは、面白おかしくお茶の間の話題を提供させるために、報道の自由を尊重しているのではありません。社会正義を守るために、私たちは報道の自由を支持しているのです。個人情報の売買を支持する人はいないでしょう。
住民基本台帳ネットワークをその潜在的な危険性を理由として、報道機関はいろいろと批判しますが、自分たちが確立している個人情報売買ネットワークには、なにも言わないのって、ちょっと不公平です。
報道機関が確立している個人情報売買ネットワークは、どのように利用されているのか詳細は不明ですし、恐らく記録もなく、また、だれの監査もありません。かれらが、あなたの情報を狙ったとき、あなたの周りは密告者でいっぱいかもしれません。警察よりも報道機関のほうが早く情報を集められる本当の背景は、このような情報収集システムにあります。それは、権力により実現された日本の戦時中の特別高等警察やドイツのゲシュタポの密告システムに相当する、密告情報買い上げシステムでもあります。これは、善意で運用されているのではなく、経済性により維持されています。ですから、偏向した情報でも、高い商品価値があれば高額で流通します。
同じ密告でも、社会正義のために企業や政治家の悪を暴くものは、告発といわれるもので意味が違います。お金ほしさでの行動ではないからです。また、報道機関の個人情報売買売買ネットワークは、そうした世界にはあまり展開されていないようです。報道機関には、興味のない世界なのでしょう。建前は別でしょうが・・・。報道機関は、新聞やテレビの枠を埋めるための仕事をしているだけだからです。そして、それは彼らの商品でもあります。
昔の話ですが、朝日新聞の記者が、記事欲しさに沖縄の貴重な珊瑚に傷をつけて撮影したりしました。この虚偽の報道は汚名をきせられたダイバー達の努力により明らかにされたものです。

朝日新聞の虚偽報道により「不道徳な連中」という感じで汚名をきせられたダイバーの名誉のため、沖縄のダイバーたちが中心になりこの問題は追及され、明らかになりました。このとき、日本中のダイバーは朝日新聞の報道が信じられず、沖縄のダイバーの努力を支援しました。朝日新聞の記者のような不道徳なダイバーがいないことは、日本のダイバーたちには信じられていたのです・・・。普段は生活にも困っているけどね・・・自然を愛するからダイビングをしていることを理解できないから、こんな捏造記事を考え付いたのでしょう。人は、自身の品位を超えたことはできないものです。

報道を職業にしている人たちは、報道することが目的であり、真実を明らかにすることが目的とはいえません。ですから誤報についケロッとしているのは自然でしょう。この事件の場合も、当初は記者の行ったこととして謝罪があっただけです。まあ、記事は必ず個人が書くわけですから、何があっても尻尾きりで済むという特徴が報道機関にはあります。

詳しくは以下のページをご覧ください
朝日珊瑚事件を語り継ぐホームページ2003/2/9

しかし、組織としても変なことをしています。現実なものとして、かなり悪質な個人情報売買システムを確立して運用しているのも報道機関です(空想の元に批判を続ける住民基本台帳ネットワークの弊害と比べたら、はるかに危険じゃないですかね)。そして、それはすべて、報道の自由の名の下に、秘密です。かれらは、社会的信認を公然と受けた組織ではないわけで、信頼に値するということは・・・ありません。彼らの確立しているシステムは、彼らの利益のためのものであり、社会のためのものではありません。彼らの利益とは、お金だけではなく、社会を先導しているという気持ちを満足させるための場合もあります(つまり、本当に汚らわしいということですけど・・・)。
その昔、理想の国北朝鮮と宣伝して、帰国運動を推進し、多くの人の人生を狂わせた新聞とか、今も反省もせずに報道を続けています。政治家だけじゃなく、自分たちも誤った報道について反省したら・・・。
私たちは、報道機関が提供したい話題だけしか、知ることができない傾向があります。ですから、どんな大儀名文を彼らがかざしても、斜めに見ることがやはり大切です。彼らが個人情報保護法から本当に守りたいのは、実は芸能ニュースなのかもしれません。だって、報道機関全体で見ると、主力で稼ぎどころは、芸能とスポーツ、そこですもの・・・。
そして、そうした本音を、私たちが社会正義の名の下に認めるとしたら・・・不条理ですね・・・。社会正義の名の下に、個人情報売買組織を認めるのですから・・・。
報道機関は、住民基本台帳ネットワークを批判する目を、自分たちにも向けたほうがいいんじゃないでしょうかね・・・?

「あなたは、兄弟の目にあるおが屑は見えるのに、なぜ自分の目の中の丸太に気づかないのか。 自分の目にある丸太を見ないで、兄弟に向かって、『さあ、あなたの目にあるおが屑を取らせてください』と、どうして言えるだろうか。偽善者よ、まず自分の目から丸太を取り除け。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目にあるおが屑を取り除くことができる。」

新約聖書:ルカによる福音書 / 6章 41〜42節 (新共同訳)


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