オーディオの遍歴
第06章 モバイルオーディオの至福



第05章 オーディオの基本は人の中に… オーディオの遍歴 INDEX !第07章 ドイツの音楽、ドイツの音、そして世界の音

このコンテンツでは、モバイルオーディオの話題を書いていますが、2001年に書き下ろしました。
今では、モバイル専用であるコンテンツモバイル日記もありますので、合わせてご覧ください
(2004/07/10)

ドイツへの長期出張

frankfurt frankfurterhof
Steigenberger Frankfurter Hof
フランクフルトが都市国家だった時の迎賓館で築200年以上
私のドイツ長期出張の時の定宿でした
SONY WALKMAN
SONY WALKMAN

私はドイツに長期出張を行なうことになりました。会社からの指示で転勤ではなく出張の形態をとることになりました。この期間は結局は3年間に及び、ドイツ/アメリカ/日本を頻繁に行ったり来たりするようになりました。

私は、出張旅費のお陰で、ドイツの超高級ホテルを常宿とし脚注15、ドイツの会社の人たちから驚かれ、大切にしてもらいました脚注16

この長期出張は、オーディオが必須なものになっていた私の生活に影響を与えずにはいませんでした。1〜2ヶ月もホテルに宿泊している間に、オーディオ無しというのは大変です。ですから、はじめのころはドイツでLinnのシステムでも購入してホテルに置いておこうかと思っていました。

しかし、まず持っていこうと思ったのは再生専用MDです。ポータブルCDでも良かったのですが、CDを傷めてしまうこともあるので、MDにダビングしていこうと思いました。CDも生産が終わってしまえば、手に入りません。CDはレーベルを印刷してある側には保護層が無いので、傷がつくとお終いになってしまいます。

出来が良かった、MD

これまで、長々と家庭用のシステムについての遍歴を書いてきましたが、カセットの時代からウォークマンなどは何台も持っていました。私はモバイルオーディオも大好きです脚注17

極めて低出力であるので、簡単な構造の割になかなかいける性能です。結構いける音ですので、ヘッドホンを選べばかなり楽しめます。
当時の私は、KOSSのPORTA2000というヘッドホンを愛用していました。あとは、SONYのイン・イヤー型の一番高額な製品です。

ドイツに行くために、MDの録音できる据え置き型の機種、SONY JA3ESと、携帯用にシャープの再生専用MDを購入しました。バッテリーに当時としては珍しかったリチウム電池が使われていました。しかも大容量バッテリーを使用すれば、より強力な電源となるので音が期待できたからです脚注18。そして、案の定、実に楽しめる音でした。

私はこの時にMDを初めて購入したのですが、ATRACというSONYのデータ圧縮技術はたいしたものだと思いました。MDプレーヤ(SONY JA3ES)の音そのものは、アナログ出力を聴くとお話しにならないものでしたが、デジタル出力を使いKRELL Studioで聴く限り、オリジナルの音の特徴を良く捉えていました。音が足りなくなってしまう感じでしたが、初めて聴くCDであればCDなのかMDなのか判断はつきませんでした。これはSONYのTYPE-Rというものを使えば、より改善されているのではないでしょうか?

私が華原朋美を好きになったきっかけは MD

ザクセンハウゼン
フランクフルト ザクセンハウゼン…飲み屋街です
仕事が終わると、この街で飲んでいました…ほぼ毎日…(^^;

MDには、本当に楽しませてもらいました。

私は、フランクフルトのザクセンハウゼンを飲み歩いているときとか、マイン川沿いにホテルからザクセンハウゼンに向かい歩いていくときに、いつもヘッドホンをしていました。日本に帰ったときにポンポンと作ったアルバムのコピーを聞きながら歩いていたのです。

そして、あ、これは、というアルバムもありました。一番印象深かったのは、華原朋美のLOVE BRACEというアルバムでした。あまりうまい歌とは思いませんでしたが、私が知らなかった音楽の形でした。

後述しますが、ドイツでの生活のためテクノ系の音楽への許容度が高くなっていたのですが、その反面メロディアスな曲に対して知らず知らずの間に求めていたのではないかと思います。ドイツの石畳を歩きながら、古い建物を見ながら聴いた彼女の消えてしまいそうな叫ぶような歌は、心に染み入りました。私は華原朋見のファンにになってしまいました。このアルバムが華原朋美にも小室哲也にもベストアルバムであったのではないかと今でも思っています。

私の友人たちは、この話しを聞いて、私が意外な展開になるのはまただねと彼らが笑ったりしたのは言うまでもありません。私が古楽からクラシックまでをこよなく愛していることを知っているからでした。当ホームページでも、何回か「頑張れ華原朋美」というページを立ち上げようかと思ったほどです(といいながら昔の作りかけをUPしてしまいました)。
なお、私が好きなアーティストの吉野千代乃さん華原朋美が歌が下手なので大嫌いだったみたいです。頂いたemailで拝見したのですが・・・。

華原朋美は、小室哲也の実験だったのだと思っています。つまり、人の声をそのままに使って音楽を作るとどうなるかという…華原朋美はボイストレーニングなしにデビューしましたので…その後の彼女は、ちょっとかわいそうでしたね…

モバイルにもハイエンドがあります

MONSTER DR.Dre
MONSTER beats by dr.dre
Over Ear Headphone studio
MONSTER CABLEが出していたヘッドホンです。
有名なDr.Dreが音のチューニングをしていました。
このヘッドホンは、当時としては最高でした。
このヘッドホンはアンプ内蔵のパワードヘッドホンです。
1000mAhのニッケル水素電池(エネルーブの最高品)がお勧めでした。
今ではDr.DreはAppleに買収されてお金持ちになりました。
Monster CableはAppleとの対応を誤り製品の認定を失いました(爆)
B&O A8
BANG & OLUFSEN A8 EARPHONE
当時はEarphone2000という名称でした

モバイルオーディオにだってハイエンドはあります。そう、音楽最優先の製品がちゃんとあるんです。過去のことではいけないので、ここだけ現在の話題として書きます。

脚注にも書きましたが、モバイルの機器は普通のオーディオ機器と比べてかなり高価だと思います。オーディオ用語の羅列になりますが、バッテリー駆動アンプはそれだけで凄いものですし、サファイア蒸着ヘッドフォンとか、端子がすべて金メッキとか、肩書きだけ見ればハイエンドオーディオ機器みたいなもんです。すでに述べたような、鋭い感性により鍛えぬかれていないことだけが問題なのです。

当時の一番お勧めは、左の写真のヘッドフォンでした。MONSTER beats by dr.dre Over Ear Headphone studioです。このヘッドホンは、アンプ内蔵のパワードヘッドホンです。ノイズキャンリング機構も付いていますので、大きな音で再生しなくても楽しめます。雄大で、しかし、ハイスピードな低音、透明な中高音…素晴らしい音のバランスです。このヘッドホンには、2種類のケーブルが付属しています。赤い、ストレートケーブルを使用しましょう。また、内部抵抗の低いバッテリー程よいので、お勧めはエネループの高級品、1000mAhの単四を使用しましょう。

以前にお勧めだったのは、下の方の写真のBANG & OLUFSEN A8 EARPHONEEarphone2000です(現在の名称はA8 Earphoneです)。価格はちょっと高くて1万2千円、でもこの音は素晴らしいです。皆さんがお使いのポータブルCDやMDでそのまま使用できます。能率が高く、ちょっと軽快な感じで、広帯域感があるその音は、Bang& Olfsenのサウンドポリシーそのものです。また、デザインも素晴らしく、写真で黒く見えるみみに引っ掛ける部分は、自由に角度を変更でき、だれの耳にでもあわせることが出来ます。ただ、耳につけるときにちょっとコツがあるので、はじめは惑われるかもしれませんね。

私はこのヘッドホンを使用する前までは、アメリカ Etymotic Research のER4Sを使用していました。この機種はケーブルが硬く、あと耳に隙間なく挿す形態なので、歩きながら使用する場合、人に接触して引っ張られることがあると、ちょっと耳が心配です。音としてはBang& OlfsenEarphone2000よりも高い水準にあります。また、この機種はBang& OlfsenEarphone2000よりもかなり能率が低く、長時間聴くのにはいいと思いますが、ちょっと聴くには音の大きさに耳が慣れるのに時間がかかります。もともとモバイルオーディオ用の製品ではないのです。こちらの方が音作りの無い自然な音ですが、もともとモバイル機器も音作りをあまりしていないので、どんな音になるのかビックリ箱みたいな感じがあります。なお、同社にはモバイル用にER4Pという機種も用意されており、特性は劣りますが能率が高くなっています。私は使用したことがないため音については論及できません。Etymotic Research の製品はインターネットで直接に購入できます。

世界最大のヘッドホンメーカーはSONYなのですが、紹介しようと思うと、最高品質と思う製品は海外にお株を持っていかれてしまう・・・あーあという感じですね。

MDとMP3、そしてATRAC3

ちょっと現代の話題が続きます。

大崎の飲み屋さんで隣にいたカナダ人と話していました。もちろん実話です。
私はMDを聴いていました。

「なにを聴いているの」
「MDでJPOPS」
「知ってる?MDは日本でしか使っていないんだよ」
「知ってるよ」
「カナダやアメリカではみんなMP3を使っているんだ。日本は遅れているよ」
「へえ、みんなMP3使ってるの?カセットだろ」
ちょっと怒って「MP3だよ」
「あんな音が悪いもん使って、音楽家の著作権を侵して、そんなもんみんなが使っているなんてうそつくなよ。だいたい、街のオーディオショップで売ってるなんてめったに無いじゃないか、MP3プレーなんてさ
「うそなんかついてない!だいたい、何で日本人は今ごろになってMDなんて作るんだ」
「馬鹿だなあ、MDは10年も前に作られているんだ。日本ではやっただけで、もうペイしているよ。MDはカセットテープの代わりなんだよ。日本じゃもうカセットテープは使ってないからね。日本のMDは海外で売る努力はたいしてされていないだろ。アメリカでもヨーロッパでも日本の倍の値段で売ってるからね。日本のハイテクがそのまま海外に行くと、経済問題になるから売らないのさ(私がいつも海外人をからかう時の常套文句です)」
「...JPOPSを聴いているんだろ、マドンナとかのほうがずっといいじゃないか、何でそんなもの聴くんだよ」
「あんなのただのショーミュージックじゃないか、悪いとは思わないけど、こうして聴きたいとも思わないけどな」

・・・・夜はふけていきます。
ちょっと長い話しでしたが、音を楽しむならMP3よりもMDのほうがいいと思います。

このコンテンツはかなり古いものです。
2011年現在では、Apple LossLessやWMA LossLessをお勧めします
これらのフォーマットは、オリジナルサイズの半分ぐらいにしかできませんが、データはオリジナルのままで、情報は失いません。
また、ATRAC3、つまりSONYメモリースティックとか、MDLPをで使用する記録方式ですが、MP3よりは楽しめる音がします。ただ、長時間記録モードはいずれにしてもちょっと音質が落ちすぎると思います。MP3よりはちょっとはいいと思いはしますが。
最近に、携帯電話をAU C404S に変更しました。これらはATRAC3のプレーヤが内蔵されており、お買い得な機種です。初めはひどい音だなーと思いましたが、すでにご紹介したBang& OlfsenのEarphone2000であれば、ずいぶん楽しめます。ちなみにEtymotic Research のER4Sはちゃんと鳴らすことが出来ませんでした。オーディオ回路が貧弱すぎるようです。また、付属のリモコンケーブル部分の質が悪いのが難ですが脚注19、面白い製品ですよね。中途半端なところがですが。私はemailの機能が気に入って愛用していますが、SONYの人から、本当に使っている人を初めて見たとダイビングの帰りに言われました。


このコンテンツを書いてからだいぶ時間が経過しました。最新のモバイルオーディオで使用しているものについては、もう携帯電話ではありません。徒然酒 2003/1/30をご覧ください。ちょっとだけですが、触れています。


このコンテンツを書いてから、さらにさらに、時間がたちました。
モバイルオーディオの専門コンテンツも用意しておりますので、ご覧くださいませ・・・(^^)
モバイル・オーディオ日記
MP3には未だに否定的ですが、WMAとかAACはなかなかいけます。
今では、iPhone4を愛用しています。


第05章 オーディオの基本は人の中に… オーディオの遍歴 INDEX !第07章 ドイツの音楽、ドイツの音、そして世界の音

脚注15

もっとも、私が勤めていた会社では、あの出張旅費でなぜ超高級ホテルに宿泊できるのか不思議がっていました。何しろ普通に手配すると1日5〜6万円もするホテルだったからです。私は特別優待をうけて朝食付2万円くらいで宿泊していました。

脚注16

欧米人のほうが日本人よりも相手の社会的ステータスを重視する習慣があります。外国人の場合は、評価する基準がないので、宿泊しているホテル、服装、態度で判断することになります。もしも皆さんが、ホテルオークラとかニューオータニを何ヶ月もアパートのように使っている外国人と一緒に仕事をするときは、やっぱりちょっとは気を付けますよね・・・ドイツ人も同じでした。なにしろ、本当にホテルにいるのか見に来たくらいでした。

脚注17

通常、ヘッドホンステレオは5mWが最大出力となっています。私が居間でメインに使用しているシステムの出力は250W位出ますので、その差は5万倍です。でも価格差は5万倍もありません。つまり、ヘッドホンステレオは、そんなに安い製品ではありません。ですから、価格の割に性能が良いのは、実は当然のことです。

脚注18

ヘッドホンを駆動するアンプがデジタルになったとしても、スピーカーやヘッドホンを鳴らす限り、電源の音は出てしまいます。強力な電源が、いい音を出すためのいちばん簡単な方法です。

脚注19

こんなことで、結構音が違うんですね。



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