オーディオの遍歴
第10章 フルデジタルシステムへの移行


第09章 JPOSに心を打たれる オーディオの遍歴 INDEX !第11章 総合芸術としての音楽とオーディオ

新しい原理がもたらした求めていた音

TACT Millenium
TacT Millenium
世界初のデジタルパワーアンプ
Equibitテクノロジー/PWM方式
後にMarkIIにアップグレードしました
現在は寝室のシステムで使用しています

いろいろな音を日本でも聴いていましたが、あまり気に入るものはありませんでした。

でも自分の中には、聴きたい音がありました。

これは、オーディオで最も大切なことで、音のイメージを明確に定めることが出来ているということです。

ある日、お店でオーディオ評論家である浅沼先生が試聴会を開くという話しが入りました。で、行ってみて、私が今愛用しているTacT Milleniumに知り合うきっかけとなったのです。浅沼先生が、この日にお店で紹介した製品でした。

朝沼先生は、2002年12月8日に他界されました。
ご冥福をお祈りいたします。

お店では離れた距離でほんの数分聴いたに過ぎませんでした。しかし、この音は興味深いと思われるものでした。

私はお店に頼んで、TacTMilleniumを年末に貸し出してもらいました。貸し出し期間は1ヶ月に及びました。そして、お店にこの機械を返却したところ、私のそれまで愛用していたシステムの音には、戻ることが出来なくなっていました。このとき初めて、自分が探していた音を出せそうな機械を見つけたことを理解しました。

TacT Milleniumは世界で初めて開発されたフルデジタルパワーアンプです。もっとも、アンプではありません。2048倍オーバーサンプリングでDA変換した出力が直接にスピーカーを駆動するものです。ですから、DAコンバーターです。電源の利用効率は90%以上、最大出力であっても機械本体は大して発熱もしませんし、電力消費もありません。CDプレーヤやDVDプレーヤから直接にデジタル接続するので、インターコネクトケーブルは不要となります。

この再生音はちょっとウォームトーン脚注25ですが、鮮烈です。

今でのシステムの音が、なにかベールに包まれているようにしか感じられません。

TacT Milleniumの音は、電源の取り方、電源ケーブル、デジタルケーブルをどのように選択するのかにより決定します。率直なところ、このアンプの鳴らし込みにはかなりのノウハウが必要です。アナログアンプとまったく異なる特徴があるからです。友人たちからは、うまく鳴らないという話が多くありました。

実はTacTにメインシステムを移行してから2年ほどの間は、あまりにも新しいシステムであるためにホームページで紹介しないようにしていました。今のシステムは、より新型のTacT 2150を二台使用した、フルデジタルのバイアンプ駆動で、スピーカーの各チャンネルにデジタルパワーアンプを割り当てています。

TacT RCS2.0の導入

TacT RCS2.0
TacT RCS2.0 / Room Collection System 2.0
ADコンバータでアナログ入力を96Kbps 24bitデジタルデータに変換

TacT Milleniumにはアナログ入力がありません。私はテレビの音などをステレオで聴くのが好きでしたし、古いレーザーディスクの音はデジタル音声ではありません。また、LPも聴きたくありました。これらはすべてアナログ出力であり、TacT Milleniumでは再生できません。

そうしているうちにTacTから発表されたのがTacT RCS2.0です。オプションでADコンバーターを内蔵します。また、室内音響分析機能を実装、フルデジタルのまま室内周波数特性と位相特性を補正すること(Room Collection)が出来る、究極のデジタル音響処理システムです。

PCが無いと使用できないシステムですが、素晴らしい製品です。

ただ、惜しむらくはTacT Milleniumと組み合わせて使用する場合に、システム間の接続を96Kbps/24ビット(後にバージョンアップで192Kbps/24bitに変更)で行うため、CDのように16bitの機器を接続した際に、アップサンプリングが行われ、音の変化があることです。

室内の再生音を補正するために、特定の周波数では10db以上レベルを上げる場合も少なくなく、最大再生レベルがクリップしてしまいます。それを避けるために全体のレベルを下げる処理が行なわれるのですが、そのためにも24bitへのアップサンプリングは必要なのですが、その際にちょっと音の鮮度が影響を受けてしまいます。また、共振周波数を補正させようとすると、かなり出力が大きくなってしまい、音に影響で出てしまいます。このような場合の対策は、聴感で判断しながらあまり補正レベルを上げさせないことがコツです。部屋の共振周波数は、どのように出力を上げても補正できないので、必要に以上に補正させてはならないまですね。そうするとRCS2.0の価値が減じてしまいます。このようなバランスの取り方に難しい点があります。

この2台により、私のシステムは完全にフルデジタルシステムとなりました。私の愛用していたKRELLのシステムは、ベッドルームでサブシステムの役を果たした後に、私が勤めていた会社の社長のお宅でメインシステムとして再び活躍しています。

新しい音楽たちとの出会い

TacTのシステムは私に新しい音楽の生活をもたらしました。ドイツの時代の音の感覚をさらに超え、素晴らしい音楽の世界が日常のものとなりました。わたしの所有している700枚のCDと600枚のLD、100枚のDVD(2001年当時の話題で今はもっと多くなっています)は、新たに蘇り、仕事に疲れた私を別な世界に誘ってくれました。この趣味は、人生にたくさんの側面を開いてくれます。
そして、興味も無かった浜崎あゆみのDVDを買って、そしてあゆにはまってしまったのです。


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脚注25

暖色系の音という意味です。音には冷たいとか暖かいという言い方があります。S氏の話ではTacT Milleniumの音をドンシャリ(高域と低域が目立って聞こえることをいいます)で使っている例が多いようです。それは鳴らし方に問題があります。TacTの Milleniumの音は、電源の取り方、電源ケーブル、デジタルケーブルをどのように選択するのかにより決定します。通常の機器に比べると音に影響する部分が少ないのですが、替わりに充分に注意しないといけません。

KIMBER KABLEやTacT Milleniumも、使い方を誤ると全く異なった音の評価になってしまいます。ハイエンド製品は使い方が難しいといういい例です。音の帯域感を大幅に広げると、優しく美しい音に到達するのですが、そのためにはかなりいろいろな点について注意しなければなりません。



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