■SONY MZ-NH1D■
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■とっても期待していたのに・・・
私は、フォーマットとして、ATRAC系は、なんとなく好きでした。
で、MDも長い間愛用していますので、新しい規格 Hi-MDにも、新製品にも期待していました。
新しい記録方式になっているので、記録密度が上がり、旧来のMDであっても305Mbyte(旧来の方式では177Mbyte)の記録が可能で、新しい媒体Hi-MDであれば、1Gbyteの記録が可能です。そして待望のリニアPCM非圧縮記録が実現されています。
もう、素晴らしい音がするのではないかと、期待していました。
でも、現実の製品には、がっかりしました。
音質設計が行われているようですが、問題は、その設計です。
オーディオの初心者が作ったような音でした。
無理して音楽を聴くようになった技術者が、クラシック音楽とかジャズ音楽を聴いて、偏った音質設計をしたのではないかと思ってしまいます。これは、QUALIA010にも感じた傾向で、いやな音を恐れて作った音ではないかと思います。そうした音の構成の仕方は、オーディオの初心者の時にやりがちなものなのでした。私も、昔はそうだったのですから・・・。言い換えると、オーディオ製品を作る「ライトスタッフ」がないのでは・・・と思います。
オーディオというのは、そうした多数決的で後ろ向きな姿勢では駄目なんですよね・・・緻密にして大胆、そして、限りなく豊か・・・というのが、オーディの世界の音の姿勢であるべきだからです。
音質設計をするというのは、裏腹なところがあり、卓越した感性が作るものであれば音質設計の意味はありますが、多数決的で当たらず触らずであれば、しないほうがいい場合もあります。この製品は後者ですね。BeoSound2やiPodが世に存在しているのですから、もうちょっと考えた方がよかったと思います。特性的に劣るSONY MZ-E10だって、音的にはこの製品よりも楽しめます・・・つまり、退化しているんですね・・・
■よい点を言えば・・・
「難点を言えば」という説明を他の製品はしていますが、この製品は、もう説明が難点から入ってしまうものでした。なにしろ、音楽を聴く道具としては、今の時代の水準に到達していません。無理して使うなら、ATRAC3plusで使うべきでしょう。リニアPCMで聴くのは、難しいですね・・・出てくる音が、もうお話にならないので。この製品は5年以上前に出ていれば画期的だったかもしれません。出てくる時期が遅すぎたのでした。
で、1Gbyteの書き換え可能pcメディアとして使うという手がありますが、ac電源を供給しながら使用することが出来ない・・・(^^;・・・という画期的なデザイン・センスなので、そうした利用も限られていると思います。
製品の企画/デザインが悪ければ、結局はすべてダメという、典型的な製品ですねー
戦略の誤りを戦術では訂正できない・・・という格言、そのままです。どんな優秀な技術も、使い方を誤ればムダということですね。
次の製品がもしも出せるなら、ちゃんとした製品企画をしてくださいね。
■このソフト、素人が作ってるのかな・・・(^^?
Hi-MDには、SONYが開発したソフトでCDの音楽データを転送できます。
でも、このソフト、DirectXを使っているんですけど、出来が悪くて・・・画面を書き換える時間だけでも、タラタラ表示するので、いらいらしてきます。私のPCはPentium4の3GHzなんですけどねー・・・。きっとDirec Xで書いているのではないかと思います。その場合、なにも考えないで日本語表示すると、こうした表示なるんです。Direct Xの文字を書く方法くらい、研究して作ってよ・・・という感じです・・・開発している人、素人かなー・・・(私の仕事をしている世界では、プログラムを作れるくらいではプロとは呼ばないもので・・・)。この程度の画面なら、direcxの必然性もないので、作り方がわからないなら、gdiで書いた方がいいと思いますけどねー。
それに加えて、コピーする際に1つの曲が50%になると、次の曲のデータ変換も始めるのですが、PCMモードでやると、変換時間が短いためか、以下の画面みたいに、全部50%になっていきながら、ちんたらと変換していきます。ひょっとすると、50%というのはメモリ読み込みしたということかも知れませんけど、見ていて不可思議です。
B&Oなんかのよく考えられた画面を見慣れていたので、なんか20世紀に帰った気がしてしまいました。
■モバイルオーディオとしてのMDは、もう駄目なのかなー
この製品を買うまでは、そんなこと考えていませんでしたが、買ってからそう思うようになりました。
だって、音楽的に素晴らしいデバイスでなければ、MDの価値は、データ保管用途だけです。
音楽的にちゃんとした製品を、規格開発会社であるSONYが作れないのであれば、MDのオーディオ的な価値は、ないですよね。
これは、方式の問題ではなく、製品そのものの力の問題です。
ATRACは、AACのような認知された規格でも、WMAのように各社から自由にハードを出してもらっていい規格でもありません。ですから、SONYが卓越した製品を出し続けることが出来ないならば、存在することは難しい規格です。今は、いろいろなしがらみで日本のオーディオメーカーがMDやATRACの応用製品を出していますが、いい製品をSONYが出し続けることが出来ないという状況が続けば、時間とともに変わるでしょう。欧米でATRACを支持している企業は、ほとんどありません。つまり、今までですら、製品に力がなかったのでした。