自転車を買うまで�A

ブリジストンがいいかなあ？

翌日にイトーヨーカ堂に行ってみました。昨日に見た自転車の平均価格は結構高いものでしたので、安いものを見ようと思った次第です。
売り場は地下１ｆ。しかし、なだらかな土地に建てられているお店なので、外と地続きです。売り場には、2万円しない安い自転車の他、ブリジストンやミヤタなどブランドものも多くおいてありました。また、MTBもいろいろとあります。意外だったのは、そんなに値引きが良くない事です。つまるところ、安い自転車は中国などのアジア製で、品質を問うなという製品で、国産製品は、そんなに値引かないという事みたいです。
そうした中で、宣伝ビデオがかかっていました。ブリジストンのもので、柔構造のフレームが振動を吸収するというものです。なんか、素人目にはよさそう。
値引きはあまり良くないので、町中のお店で値段を聞いてみようという気がしてきました。

匠は街中にあり

で、街中の自転車屋さんといっても、良く知らないわけです。そこで思い付いたのが以前住んでいた街、中延〜荏原中延のあたりです。大井町から電車で３駅、遠い場所ではありません。そこには一軒の自転車屋さんがありました。
さっそくいってみると、ブリジストンはありません。ミヤタと、知らないメーカーの自転車がありました。安いものは、イトーヨーカ堂と同じくらいの価格です。高くても５〜６万円。外れかなと思いながらも、お店に声をかけてみました。お店の人が出てくる前に、ふっと片隅においてある自転車に気付きました。クルーザーです。それも、凝った塗装がされ、サドルもオシャレ。でも知らないメーカーの製品です。「なんでこうしたお店にこうした自転車があるのだろう」と思った矢先に、頭の禿げた６０歳くらいの親父さんが出てきました。
「自転車が欲しいんですけど」
「ご予算はどれくらいです」
「特に決めていません。気に入れば７〜8万でもいいで゜すけど」
「でも、安いほうがいいんじゃないですか？」
はじめに出してくれたのが、２万円くらいのママチャリです。変速機がありません。
「私は大崎に住んでいるので、坂が多いものですから、変速機なしはちょっと･･･」
「この辺は坂が少ないので、変速機がついていると5000円は高くなるので、売れないんですよ。うちのお店で変速機付きの安いのは･･･と･･･おととい売れちゃったなあ」
「あの、ブリジストンとかは扱っていないんですか？」
「どこでも置いているんでね、それに、うちではタイプが合わないし、扱いません」
「あのタイプって？」
「うちはミヤタが中心なんですよ。昔からやっている愚直なメーカーでね。質の良さを追うスポーツタイプを扱っています」
なんか、お店に並んでいる自転車からは想像もつかない一言でした。でも、質問が良かったみたいでさらに教えてれます。
「ブリジストンは商売がうまいよね。柔構造のサスペンション内蔵フレームは、確かに素人目には良く見えるでしょ。でもね、踏み込んでもフレームが力を分散させてしまうんで、軽快な思うような走りは出来ないんです。それでもいい人が選ぶ自転車ですけど、そうした自転車を売りたくないんですよ」
なんか、こういう人を信用するのが私です。こちらは自転車の素人ですから、専門家が売りたいものを買うほうが必ずいい結果になると、直感的に思いました。

SOGO CYCLEと出会う

いろいろな自転車について話しを聞いているうちに、ミヤタのスポーツ車指向は、ちょっと私の希望と違う事が分かってきました。お店の親父さんは、親切にいろいろとカタログを出してくれました。そうこうしているうちに、見知らぬメーカーであるSOGO CYCLE(相互自転車)というメーカーのカタログを出してくれました。そのカタログ見ると･･･オシャレなのです。とても。また、どの自転車もハイテクでした。センサー内蔵の車軸に組み込むジェネレーターを使用したランプ、果ては自動変速機まで利用する事が出来ます。このカタログに見入っている私を見て、「写真じゃ分からないでしょ」といって、奥から自転車のフレームを取ってきてくれました。クロームメッキ仕上げのそのフレームは、このページの写真に使用しているタイプの自転車です。写真のものは赤ですが、クロームメッキのものは、それは美しく、心を奪われました。
「こりゃいいや」
「今日はカタログを差し上げますから、良く考えてからまた来てくださいよ。値引きも15%から20%ならしますから。このメーカーの製品はパーツで届くので、当店みたいな専門店でないと組み立てられません。だからスーパーなんかでは買えませんよ。デザイン登録してある機種は、まねをした製品を販売できないので、将来に安売り自転車が出てくるという事もありません。」
もらったカタログを見ていて、男らしくハイテクに目が行きました。
「よし、オートマチックとセンサー付きライトをこの自転車につけてもらおう！」
カタログには付けられると書いてないのですが、おじさんの話ではどうにでもなる印象がありました。ですから、勝手に頼むことにした次第です。
もちろんお店はOKでした。

自転車をオーダーして待つ事一週間

自転車のオーダーは、５月の連休直前でした。当然、だいぶ待つかと思っていたのですが、お店は急いで手配してくれました。連休が明けてみると、出来ていますとの事。価格は値引いて５万円弱でした。
お店で説明を受けていると、驚く事ばかり。この自転車は、車輪のスパークまでばらばらの状態で届くものを組み立てるのだとか・・。
お店で説明を受けているときに、他のお客が自転車を持ってきました。
「すいません、荷台を前にも付けて欲しいんですけど」
「やっときます。午後に取りに来てください」
「よろしく〜」
この受け答えを聞いていて、やっぱりここで買ったのは良かったと、再認識した次第です。

	Web www.calvadoshof.com