OLYMPUS E-330
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特徴
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これまでのOLYMPUSの一眼レフデジカメは、Kodakのフルフレーム型CCDを使用してきました。そうしたOLYMPUSのDSLRが初めて採用した日本のメーカーであるPanasonicのイメージセンサを搭載している第一号が、OLYMPUS E-330です。 2006/03/13,15,04/25,08/20 | |
レンズマウント
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レンズマウントはフォーサーズ仕様です。CCDサイズが4/3インチであることからそう呼ばれており、デジタルカメラ用によく考えられたマウントシステムです。 | |
価格
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発売された後の価格は、レンズ付きで13万〜11万円くらいです。 |
このカメラに採用されているPanasonic製のイメージセンサは、Panasonicの開発したνmicovicon(ニュー・マイコビコンと読みます)イメージセンサの技術により開発されています。
以下の説明は、松下テクニカルジャーナル vol.52 No.1 feb.2006と、E-330のカタログをベースに書きました。
νMicoviconイメージセンサとは、CCDイメージセンサの高画素、高画質という特徴と、CMOSイメージセンサの低消費電力を兼ね備えた、新しいイメージセンサです。νMicoviconとはnewmatsushita advanced image converter for vision constructionの略称です…
キャノンが高級機でCMOSベースのイメージセンサを使用しているため、一部にはCMOSの問題点として画質があることが忘れられている嫌いがありますが、CMOSとCCDでは、フォトダイオードの面積の違いから来る画質の違いが、技術的にはあります。また、CCDはCMOSと比較すると、CCDは読み出し時に全画素に対してエネルギーを印加するのに対して、CMOSは画素単位に読み出しが出来るので、CMOSは低消費電力となります。
その両方の特徴を備えるものとして開発されたイメージセンサがνmicoviconです。
はじめは、携帯電話用カメラモジュールにこの技術が投入されましたが(市場規模から見て、さもあらんと思います)、続いて、DSLRへこの技術が投入されたのでした。
この新しいイメージセンサは、以下の3つのブレークスルー技術により実現されました。
高感度を実現する新構造画素技術
受光部分を大きくするために、画素内の信号読み出し回路を新しい駆動方式とすることで、信号の読み出し制御する配線本数を、従来のCMOSイメージセンサの3本から、2本に削減することで、受光部の面積をフルフレーム型CCDに匹敵する画素の30%にしました。
画像のザラつきを抑える低ノイズプロセス技術
n型半導体であるフォトダイオードの表面を、p型半導体で覆うことで、暗電流を発生するノイズ源となる界面順位から遮断する構造となっており、大幅に暗電流をカットします。このフォトダイオードは、構造や転送ゲートの注入プロファイルの最適化により、低電圧でも完全に読み出すことが可能となっています。
低電圧低消費電力の駆動技術
X-Yアドレス方式で限られた画素だけを順番に動作させることで、電流の流れる範囲を最小化し、低電圧動作と従来のCMOSの1/2の消費電力で動作することを可能としました。
とまあ、開発した側の資料で説明をいたしました。
経験的に、Panasonicの開発したCCDは、ちょっと色の安定度が気になります。E-1に使用されているKodakのCCDは、安定したスムーズな発色を感じるのですが…
気になる、暗いところの絵の出方
撮影していて、ちょっと気になる点がありました。
それは、E-1と比較すると、撮れている絵に、かなり違いがある部分があるからです。
以下の写真をご覧ください…こうした違いに気付いたきっかけの写真です。
色味がE-1とかなり違うのは、E-330はカラーチャートでホワイトバランスの補正したのですが、E-1ではカラーチャート撮影していなかったため、より簡易な方法でホワイトバランス補正したためです。こうした背景があるため、色味は、E-330の方が正確です。また、明るさは両方ともカメラに決定させましたが、E-1の方が明るく撮影してたので、明るさを-1EVにして現像しています。ただ、撮影した際のf値は違っています…E-330の方がスピードを落として撮影しています。
気になった点は、プラズマテレビの画面に写っている内容です…明らかに、E-330の方が、情報が欠落しています。
E-330とE-1の再現力の違い
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OLYMPUS E-330サンプル写真 プラズマ画面部分のみを取り出しました
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OLYMPUS E-1サンプル写真 プラズマ画面部分のみを取り出しました
明らかに情報量が多くなっています |
これって、レンズのf値の違いのためなんでしょうか…違うんじゃないかなーと、思っています。
シャッター時間が長いのは、E-330ですので、本来は、E-330の方がいろいろと写りこむのではないかな・・・と思うのでした。
そのうち、もう一度比較するために撮影しようかと思っています・・・
明らかに、E-1の方が暗いところの情報量が多くなっており、写り込んでいるものがよくわかるようになっています。E-1の方が、1EVくらい明るく撮影してましたが、OLYMPUSのデジタルカメラはrawデータは14bitで、通常の8bitRGBに対して64倍の解像度を持つフォーマットです。ですから、1EV程度の違いであれば、データそのものが存在していれば、情報量の欠落が発生するはずはありません。
この問題の解釈は、簡単です。
νmicoviconはn-mosプロセスのイメージセンサであり、CMOSと同様に、セル毎のノイズ対策などをしているはずです。その処理の中で、色が黒につぶれそうなレベルの低い領域で、何らかのノイズ処理をしているため、情報が失われている…と考えるということです。言い換えると、このセンサは低信号のレベルまでリニアな特性を持っておらず、極めて低い信号レベルの場合は、データを間引きして、代わりにノイズ抑制力を高めている…ということです。Canonも似たような処理をしていると思いますけど…。
このような処理は、各色で独自に行われているはずです。もしも低レベルのときではなく、いつもこのような抑圧処理が行われているとしたら…つまり階調度が意図的に下げられているとしたら…その可能性は高いかもしれません。だって、条件付けしてノイズ抑制するのは、N-MOSの回路そのものはアナログですので、大変ですから。
そう考えると、OLYMPUSは14bitの解像度をフォーマットに持たせていますが、このイメージセンサはひっょとすると、10〜12bitくらいとか、解像度を抑えている可能性があります。もしも低レベルでの抑圧処理が全レベルでも処理されているとすると、一言で言うと階調度の低下ということになります。だいたい、NikonとかCanonはそうした階調度ですので…。
それでも、カラースペースがsRGBでJpegであれば、支障はないはず…です。だって、8bitですので…。
言い換えると、νmicoviconはsRGBでJpegを意識したイメージセンサ…もっと簡単に言うと、Jpegを念頭に置いたイメージセンサである・・・といえるかもしれません。
ただ、私の感覚では、ちょっとなー・・・と思うところもあります。この処理は、何気無しに考えると合理的に感じますが、rawデータ撮影前提ですと、どうでしょうか…
なんでオーバーサンプリングをするのか…それは、階調度を下げる処理をするにしても、情報量が多いものから行うほうが、「自然」になるからです。この写真サンプルの違いが生まれるわけです。
実は、E-330の絵を見ていて、ちょっと色が極端に転ぶ場合もあるな…と思っていました。ホワイトバランスの違いが、かなり強く出やすいのです…ちょっと不思議に思っていました。ただ、元データの階調度が低いなら、それもあるかな・・・と思います。中間色よりも原色に転んでいるような絵になる理由が納得いきます・・・
これは、rawデータ撮影をしているため気付く話題です。
Panasonicはrawデータ撮影についての経験が浅いので、イメージセンサの設計に影響が出ているのかもしれませんね・・・
私は、E-330は水中撮影を念頭においているので、あまり気にはならないですが、暗い海中ではフラッシュ前提に使用するほうが良さそうです。
もう、このカメラは、ダイビングが前提で購入したのでした。
実は、一昨年に、e300用の水中ハウジングを買おうかなと悩んだのですが、水中でファインダを覗き込むなんてイヤだなと思い、買うのをやめたという経緯がありました。
水中撮影用のカメラは必要であったので、タイミングの関係で、IXY600を購入し使いました。しかしというか、やっぱりというか、コンパクトデジカメはそれなりでした。とはいえ、E-300のファインダーを水中で覗きこみたくはなく、すでに説明したように買うのを止めちゃったのでした。OLYMPUS E-SYSTEMのファインダーってのは、サイズが1/2(面積では1/4)になるものですから…。
水中撮影するならば、液晶で映像を確認して、マニュアル撮影が出来るのが、大切です。
ですから、この機種の選択は、私には自然でした。
もうひとつ理由があります。それは、水中でなくても、マニュアル撮影がし易そう・・・という点です。Live View機能により10倍拡大が出来ますし、暗い場所でも明るく見れるので、ピントが合わせやすいのでした。
お店に予約してから、OLYMPUSのセミナがあったので、参加して絵を撮らせてもらいしました。
OLYMPUS本社にて
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水中ハウジング試作品…
背面には大きな水中用ファインダーがあるんです 不要なんじゃないのかなーと思いました |
説明会
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OLYMPUS E330サンプル写真
レンズは私が持って行ったZUIKO Digital ED 35-100mm F2.0を使用しました こちらには、Jpegフルサイズのデータがあります。3m以上のサイズです アメリカのサイトに紹介したら、2日で1000人以上の人が見てました…アクセスが多いので驚きました | |
代々木公園にて 2006/03/05
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代々木公園にて 2006/03/05
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都庁にて 2006/03/05
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撮影データ OLYMPUS E-330 + ZUIKO Digital 14-54mm F2.8-3.5
撮影データ OLYMPUS E-330 + ZUIKO Digital ED 50-200mm F2.8-3.5 rawデータ撮影後OLYMPUS STUDIO 1.40 でホワイトバランスを適時選択して現像 | |
ローレライにて 2006/03/07撮影
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七厘屋にて 2006/03/09
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使って実感するのですが、このカメラは、マニュアル・フォーカスの撮影で実に便利です。
ローアングル撮影も簡単…面白いカメラです。
また、ファインダーを使用しない自由さが、いろいろなアングルを簡単に撮影させてくれます。
カメラというのは、ファインダーに視点が張り付いているものだなと、実感してしまいました。
自由な撮影を可能とする、新しいカメラだと、実感しました。
今後、live viw機能は、デジタル一眼レフの必須機能となると、実感します。
水中撮影も、ばっちり
2006/04/25
E-330には、水中撮影のためのモードである、水中マクロモード、水中ワイドモードが用意されています。
これらのモードには、水中撮影を行うためのノウハウが組み込まれており、諸設定は水中専用になります。例えば、EVは-1になり、フォーカスは中心のみになり、TTLストロボ制御の仕方、シャッター時間等も変更されます。
ファミリーに用意されている水中ハウジングは、レンズ各種用にいろいろとポートがありますが、基本的に組み込むことが出来れば使えるそうです。ただし、専用でない場合のケラレや歪みはちょっとチェックが必要です。
マクロ写真は、フラッシュが必須ですが、FL-20、fl-36が、ttl制御で使えます。これは強力で、2灯で使用すると、もう素晴らしいですね…水中写真素人の私でも、以下のような写真が簡単に撮れてしまうのでした…(^^)
驚くべき実力のカメラです。
私のE-330水中撮影システム E-330 + PT-E02 + FL20による2灯TTL制御フラッシュ…凄いでしょ
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初めてのE-330による水中撮影
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カンザシヤドカリ
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アオスジリュウグウウミウシ かな??
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ミノウミウシの仲間、ムカデウミウシの一種
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イバラタンザシ
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ミドリリュウグウウミウシ かな??
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撮影データ OLYMPUS E-330 + ZUIKO Digital ED 50mm F2.0 + ZUIKO Digital EC-14 with PT-E02
rawデータ撮影後OLYMPUS STUDIO V1.50でホワイトバランス適時選択して現像 撮影 2006/0/4/21 |
座間味島 灯台北 にて
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カエルウオさん
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キスジカンテンウミウシかな
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撮影データ OLYMPUS E-330 + ZUIKO Digital ED 50mm F2.0 + ZUIKO Digital EC-14 with PT-E02
rawデータ撮影後OLYMPUS STUDIO V1.50でホワイトバランス適時選択して現像 撮影 2006/04/ 22 |
姉妹カメラ
今回のカメラの開発では、Panasonicとの緊密な協力関係があったようです。
そのため、Panasonicが出荷する予定の新しいカメラ、DMC L1の話題もちょっと…
アメリカ、オーランドで行われたPMA2006で最も話題を集めたカメラ…それがPanasonic DMC L1です。このカメラの発表と共に、ドイツLEICAもフォーサーズ規格のサポートを発表…新しいフォーサーズ用レンズも合わせて発表されました…日本は福島県で製造されるLEICAのレンズですが、新しいレンズです。
私は、LEICAも使用しているのですが、このPanasonic DMC L1は、絞りリングつきのレンズです…いいですねー。
ただ、私自身の使用感としては、LEICAよりもOLYMPUSのレンズの方が優秀という感じがあります…使ってみないと、比較は出来ないので、簡単には評価できないですが・・・。PanasonicのMEGA-OISが装備されており、フォーサーズマウントであれば、モードi、スイッチを入れたらいつも働く手ブレ防止機能が使えるレンズですので、その点は面白そうですねー。
同じイメージデバイスを使用しているカメラというのが出てくるのが面白いですね。
Panasonicには、rawデータ現像のノウハウがないところが、気になります。ビューナスエンジンIIIにはかなり期待できると思うのですけど…DSLRは、rawもちゃんと処理してもらいたいものです…このカメラは、LEICAみたいに、Adobe DNG形式で出力するのでしょうか…それとも、Panasonic式に、rawで出力するのでしょうか…それともOLYMPUS ORF形式で出力するのでしょうか…。
独自のrawデータ現像ソフトを持つ方針がないPanasonicなので、製品の設計ではこの点によく注意して欲しいと思います。DNGとかrawで出力するなら、各ソフトメーカーに充分なICCプロファイルを提供して欲しいと思います…3x3形式では、満足に現像できないので…。
Panasonic DMC L1との相違点
光学系が同じ構造であっても、半導体システムは全く違うようです。
私は、rawデータ撮影しかしないので、ビューナスエンジンIIIについて、存在価値はわかりませんし、興味もありません。ですから、この点については、コメントできません。
Panasonic DMC L1の出力したPanasonicの.rawファイルを解析してみたら、OLYMPUSと違い、12bitでの出力でした…OLYMPUSは16ビットです。ADコンバータにも違いがあるのかもしれません。
また、イメージセンサのピクセル数が、OLYMPUS E-330とちょっと違います…ちょっと横長になっており、4:3の比率から外れています。
関連コンテンツ
デジカメ日記に、以下の関連コンテンツがあります。
以下は、E-330を使用した撮影写真が収録されているページへのリンクです。
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