電源をとろう(2) 雑音対策
オーディオ機器の使い方を解説した本を書きました。オーディオ業界に縁のない私と出版社が、立場を生かして作り上げました。みなさんのオーディオ機器の能力を引き出して、音楽や映像を楽しんでくださいませ!!・・・宣伝でした・・・(^^)
雑音が音を汚す

電源の極性が合っている方が、耳障りな音をステレオがたてた場合は、次に電源の質を疑う必要があります。実際には、電源の質は大きな問題を持っており、耳障りな音を出していなくても、質のチェックは大切です。
この電源の質は、定量的にも定性的にも意味のあるようには測定する事がまだできません。理屈では電源は50Hz(関西は60Hz)の交流電流が送り届けられているはずなのですが、実際のところ、ものすごい広い帯域の雑音が含まれており、とんでもない状態になっています。そうした中でどのような成分の雑音が、どのような影響を与えるかがまだ分かっていません。ですから、雑音の存在は分かっても、どう有害なのか判断できず、どうしようもない状態です。有害な雑音を測定できると宣伝している装置はあることはあるのですが、有意性は眉つばものです・・・(^^;
いちばん簡単に電源の質を判断する方法は、コンセントを変えて音楽を聴いてみる事です。コンセントを変えるとは、違う場所の壁コンセントを利用してみるという事です。一般的に、極めて悪質な状態の電源は、極めて刺激的な歪んだ音をオーディオ装置から出させてしまいます。
問題なのは、ちょっと悪質な場合です。
症状が特定しません。
ですから、聴きながら時間をかけて(こりゃ違うなと思うまで)判断する気持ちを忘れないでください。
ところで、コンセントを変更する際に「届かないからテーブルタップで伸ばそう」なんてやられる場合は、テーブルタップに注意してください。次の節で詳しく説明しますが、電源の延長には十分に配慮が必要です。ここで述べた事がすぐに実行できる場合は、壁コンセントから直接に電源を機器にとっている場合です。そうでない場合は、次節を参照してから電源の質を確認するようにしてください。

なぜオーディオ機器は電源の雑音に弱いのか

オーディオ機器は、半導体を使用している機械と、真空管をし使用している機械では、電源の基本的な構造が異なります。
半導体を使用しているアンプの場合は、内部の動作電圧は電源電圧よりも低くなります。ですから、電圧を下げるための電源トランス必ず実装しています。
この電源トランスは、理屈では低周波しか通さないのですが、内部構造の特徴から実際には、電源の周波数よりもある程度高くなると、誘導のためにほとんど素通しになってします。また、電源回路は通常は大型のコンデンサーで平滑しますが、回路的に並列に入っており直列にチョークトランスが入る事はまれ(スイス ゴールドムンドにそうした製品が一部あります)です。こうした結果、極めて低いインピーダンスの電源回路を実装しています。これは半導体の回路にとっては重要なのですが、反面、外部からの雑音に対してかなり無防備な状態で動作しています。ですから、外部からの雑音にあまり強くないのは不思議ではありません。こうした問題に対する対策は各社で取られています。たとえば私が愛用しているKRELLは完全にバランス動作させるという方法で、ある程度の影響を回避しています。しかし結局のところ、電源を吟味するということは、極めて重要です。
真空管を使用しているオーディオ機器の場合は、半導体を使用している機器と電源の状況が異なります。真空管は電源電圧よりも高い電圧で動作させる必要がありますので、昇圧させる電源トランスを実装します。また、高圧に耐えられる平滑コンデンサーがないために、チョークトランスを直列にいれる場合も少なくありません。ですから電源回路は比較的高いインピーダンスで動作していますが、外部からの雑音には強くなります。
こうした特徴の違いから、真空管を利用した製品の場合は、比較的電源の質の影響を受けなくなります。しかし、電源のインピーダンスが高い以上、ある程度個性的な音の特徴を持つ事は避けられません。
ただ、ヨーロッパなど電源電圧が200v以上の環境を前提に設計されている製品を日本で使用する場合は、電源に使用する昇圧トランスの品質により大きな影響を受けるようになります。
外部からのノイズに強い構造にすることと、機器の電源の内部インピーダンスを下げる事はある程度矛盾する話題であり、どちらの構造を採用するかは機器の設計の設計者の思想とセンスに委ねられています。また、高周波にまで応答する定電圧電源回路を採用する場合もあります。KRELLの最新型パワーアンプは、電源回路の完全な定電圧化が図られていますが、その結果パワーアンプと同規模の定電圧電源を実装しています。高級機が安く作れないのも、道理です。

続きは 7. 電源をとろう (3) コンセントへのさし方 をご覧ください



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